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漫画『金色のガッシュ!!』感想

先日、近所の本屋で『金色のガッシュ!!』の文庫版を全巻買って読み直しました。

全巻楽しく読んで、この漫画はONE PIECEとは比較にならないほどのお涙頂戴漫画でした。ざっくりとした大まかなストーリーは魔物の子供100人が魔界の王を決めるため、人間界で最後の1人になるまで戦うというもの。戦いには決められた人間のパートナーがいて、魔物の呪文が書かれた本をパートナーに読んでもらうことで力を発揮する。本を燃やされると魔物は魔界に帰ってしまうので、パートナーとのコンビネーションが重要になってくるというもの。

術を使うためには「心の力」が必要。それは勝ちたいや何かを手にしたい、パートナーと一緒にいたい、といった想いの力のことで心の力を込めて呪文を唱えなければ術は発動しないし、逆に心の力が強ければ強いほど術は強力になり、新しい術を覚えていく。

まず本を燃やされてしまうと魔界に帰ってしまうという設定がすばらしい。

本を燃やされると終わりということは強制的に別れが来る。つまりもう二度と会うことができない(自分で自分の本を燃やすことはできない)ので、それぞれのペアの別れが来るたびに涙腺が刺激される。ペアの中には目も当てられないようなつらい境遇の人間、魔物や本当の家族や恋人のように暮らしているペアも多く没入感が凄まじい。

 

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雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版1巻より  

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雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版7巻より 

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雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版12巻より 

また「心の力」という設定があることで、ONE PIECEでよくある「ズタボロにされていたのに、急に新しい技を繰り出して勝つ」といった強引な展開が違和感なく行われるのも特徴の一つ。そのため、1ページ前まで全く歯が立たなかった相手に対し、新しい術をひとつ覚えることでいとも簡単に勝ってしまう、ということがガッシュでは毎回のようにあるのです。

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雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版10巻より 

パートナーが呪文を唱えるというのも秀逸です。昔からONE PIECE、ドラゴンボール、幽々白書などを読んでいて「いちいち技名を叫ぶ」ことが納得いかなかったんですけど、「呪文を唱えなければ術が出ない」という設定があることでこんなにもなんの違和感もなく戦闘に入り込めるのかと。

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雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版2巻より 

そして戦闘中はとにかくキャラクターがよく叫び、よく泣く。「わあああああああ」「ぎゃああああああ」「うおおおおおおおお」「ちくしょーーーーーーー」「くそーーーーーーー」「笑うなーーーーーーー」「いけええええええええ」など、ほとんど叫ぶか泣いています。大粒の涙なんて生易しいもんじゃありません。もう滝、華厳の滝。これも「心の力」の設定のおかげで叫べば叫ぶだけ、泣けば泣くだけ強くなるので「本を燃やされたら終わり」「呪文を唱えなければ術が出ない」「心の力」という設定を考えた作者は素直に凄い。

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雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版1巻より 

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 雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版4巻より 

ネット上では、たびたびガッシュはワンピースと比較されるのは上に書いたような「死や別れが多い」「登場人物がよく叫び、よく泣く」や「奇形が多い」などの共通点が理由じゃないでしょうか。また「悪役がとことんクズ」というのも共通点のひとつです。ワンピースもガッシュも結局は「勧善懲悪」の一種なんですけど、悪役キャラにも理由があったり、改心したりすることもあるんですけど、大抵は自分の為なら平気で他人を陥れたり、傷つけたりするようなキャラばかりで読んでるこっちがイライラする仕様になっています。ワンピースのアーロン然り、ガッシュのロード然り。

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雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版8巻より 

ただONE PIECEとガッシュが決定的に違うところは、回想シーンに時間をかけないところです。

ONE PIECEは話の重要シーンになるとたいがい2,3話は回想の回になって特に思い入れも、魅力も感じないキャラだと「知らんがな」になって回想に入るとほぼ読み飛ばすんですけど、ガッシュの回想のシーンは長くても1話の半分くらいにまとまってるので凄く読みやすい。

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雷句誠 金色のガッシュ!!文庫版8巻より 

ガッシュやONE PIECEみたいな良くも悪くもまっすぐな漫画は年齢を重ねるにつれ、つまんなくなると思うし、童心に帰りたいときや生活が充実しているときは、メチャクチャ面白い。逆に自分の心が荒んでたり、糞みたいな毎日を送ってるときは1ミリも面白く無いと思うのでそういうときは「漂流ネットカフェ」とか「闇金ウシジマくん」を読んでバランスをとるのがいいのではないでしょうか。

 

金色のガッシュ!! 完全版(1)

金色のガッシュ!! 完全版(1)

  • 作者:雷句誠
  • 発売日: 2018/07/02
  • メディア: Kindle版